Kimochi Yokereba Subete Yoshi Hiwai denai Seiai Monogatari (Japanese Edition)

男性が体力を消耗せずに性的な快感を得て射精にまで至ることができるようになったら、便利だと思いませんか？

男性が性交や自慰をして射精に至るためには、よほどの早漏の人でないかぎり、どうしても体力を消耗してしまいます。
性産業では客の男性が全く動かずにいても、女性が男性の性器を刺激して射精にまで導いてくれるものがあります。でも、それを利用するためには代金が必要です。
男性が自慰をするために使う、オナホールと呼ばれる道具があります。それが股間に取り付けられた、ダッチワイフもしくはラヴドールと呼ばれる等身大の女性の人形もあります。
しかし、それらを使って自慰をするにも体力が必要です。オナホールを握った手を動かすか、ラヴドールの股間にペニスを挿入して腰を動かす必要があるからです。

でも、オナホールの内壁が勝手に動いてペニスに絶妙な刺激を与えてくれるとしたら――
男性は体力を消耗せずに快感を得て、射精にまで至ることができるようになるわけです。

『気持ちよければ全てよし？』は、そのような電動式のオナホールが開発されたという物語です。
男性にとって究極の名器だという意味をこめて、その製品は「究名器」と名づけられます。
その「究名器」が股間に取り付けられたラヴドールも売り出されます。
こちらは「究名器を備えたラヴドール」を略して、「究ドール」と呼ばれるようになります。
シリコーンを素材にして作られたラヴドールは、やわらかさも本物の女体に近く、まるで人間の女性を抱いているかのような感触を味わうことができます。
ですから男性が「究ドール」を使えば、本当に人間の女性と性交しているかのような抱き心地を楽しめる上、自分では全く体を動かさなくても快感を得て射精に至ることができるのです。

「究ドール」に小型のコンピューターとマイクとスピーカーを内蔵させて、簡単な会話ができるようにした製品も開発されます。
これは「究フレンド」と名づけられます。
時おり機嫌を損ねることもある本物の女性の恋人よりも、いつでも優しく受け答えしてくれる「究フレンド」の方がいいのではないか――
「究フレンド」の持ち主で主人公の男性は、恋人の女性と喧嘩してしまったせいもあり、そんなふうに考えてみたりします。
でも物語の最後で事件が起こり、主人公は「究フレンド」ではない生身の女性との関わりの大切さを悟らされるのです。

この『気持ちよければ全てよし？』という物語は、「究極の自慰装置を紹介します」と「等身大人形の妖しい魅力」という二つの短篇を元にして書かれました。
「究極の自慰装置を紹介します」と「等身大人形の妖しい魅力」は二篇とも、短篇集『愛のための手術』に収録されています。

なお、この本による収益のうちの一部は、東日本大震災の被災者の子供たちのための支援活動などに充てられます。